孤高の天才肩こりマン、ついにリクガメ購入!
~前回までのあらすじ~
リュックサック一つで登山をしていた私は、目を見張る大きさの一匹の鹿に出会った。
リュックサック一つで来たためカメラを持ってこれなかった私は、なんとか鹿を記憶に残そうと目を近づけるが、毛が目に入って痛っ!となってしまう。
鹿のあ…ごめん…でもそっちが近づいてきたんやで………?と言わんばかりの潤んだ瞳を背に私は次のジムがある、私立ズコバコ学園へと向かった。
本文
このペットショップ、一体いつからホームページを更新していないのであろうか。ホームページの中にあった手のひらサイズのマルギさんは時の流れの中に消え、今となっては老舗旅館のような雰囲気をかもし出している。
しかし違いは大きさだけではない。最も重要な値段も違っている。その大きさに比例して、値段もはね上がっているのである。
例のごとく私の脳細胞に不安がよぎるーー。
いっそのことロシアリクガメにしてしまおうか。
いや、それは違う気がする。
この種を買うと決めてペットショップに来たのならば、妥協はするべきではない。後々後悔することになるかもしれないし、そうなったら買った子に120%の愛情を注げなくなってしまう。やはりペットといっても尊い命。
長い年月を経て、繋がってきた長い河川の流路なのである。遠くから見れば、目をこらしても見えないほど小さく細い水流かもしれない。だが、その水は世界の7割を埋め尽くす大きな命の海から来ている。そのちいさな流路が、ちいさな村の、これまた長い長い繋がりをもった命を支えていることだってある。
命はきっと、そのようなものなのだ。
西郷どんが言っていたように、松田翔太とモブの命の価値は同じなのである。
この時点で、私はこの店ではなにも買わないことを決めた。
ではどうするか。決まっている。
ブチャラティーーー!!!!オレも行くよ!行くんだよぉぉぉ!!!お父さんに車を出してもらって、別のペットショップに行くんだよぉぉぉぉぉ!!!あのホームページにいた小さいマルギはオレなんだッ!!!!
お願いして車を1時間ほど走らせ大きなペットショップに到着。ここは爬虫類を主に扱っているわけではなく、哺乳類や魚、両生類針爬虫類と、広く扱っている店だ。
規模は県内で一番と言っていいが、正直期待はしていなかった。当然である。広く扱っているということは、その分浅い、ということである。
私の目当てのマルギナータリクガメさんはなかなか入荷がないというのだから、期待値は高くなかった。
この店にいなかったら一旦諦めるか……と半ば諦めつつ入店。
ものすごい数の水槽が目に飛び込んできた。
水槽の中では、色とりどりの魚たちが悠々と泳いでいる。こんなにも魚をたくさん取り扱っているアクアショップを私は知らない。
これはもしかすると…。
あわてて爬虫類のスペースを探す。
どうやら部屋の温度を保っている温室に、爬虫類たちはいるようである。
温室の中には爬虫類だけではなく、針ネズミやインコ、とんでもなくでかいオウム、ちいさな猿なんかもいた。
先程広く浅くと言ったが、その広さが私の想像力を大きく越えて、こここそ、小さな動物園と呼ぶにふさわしいと思った。
子供なんかはすごく喜びそうなところである。実際に、魚たちのスペースは男一人で見ている客が多かったのだが、温室の中は親子連れの客が大半であった。
どの子供もかわいらしい、いい笑顔をしているのである。
クソガキどもをかき分け、リクガメスペースへ到着。
ん…………………?
こ、これは……………………!?
リクガメさんだぁ~~~~~~~~~😆😆😆😆😆
しかも………!
マルギナータリクガメさんおるぅぅぅぅーーーーーーーーーー!!!!!!!!!😂😂😂😂😂😂😂😂😂
しかもホームページで見たかわいいサイズのやつやぁ~~~~~~~~~~~😸😸😸😸😸😸😸😸
いっしょに入っていたロシアリクガメは活発に動き回っていたのだが、マルギさんはめちゃめちゃ眠そうで、シェルターの中に引き込もっていた。(ただいま夜7時)
店員さんを呼んで、近くで見せてもらう。
眠そうに目をくしくししていて、なんて愛らしい生き物だろう。
女性店員さんの手のひらに収まるくらいなので、ほんとに生まれたばかりなのだろうか。赤ちゃんなら、眠たくて当然である。
聞いてみると、生まれてからは分からないが、日本に来てからは半年程らしい。出身はスロベニアで、向こうのブリーダーさんからの輸入だそうである。
めったにない入荷とのことなので、私はなんて運がいいのだろう。さっそく購入手続きを始めた。
お母さんが、「私はこの元気なヘルマンリクガメがいいと思う。」としつこく詰め寄ってきたのだが、あいにく耳くそが詰まっているので聞こえなかった。
店員さんから軽く説明を受けたが、前もって調べておいた情報と同じだったので、より一層知識を深めるとこができた。
マルギさん30000円に加え、リクガメ飼育セット35000円もいっしょに購入し、私はめでたく一文無しとなったが、心はとても充実していた。
お母さんは「ずっと寝てたけど元気無いんじゃない?」と後味が悪くなるようなことを言ってきたのだが、
帰り道でうんちをするほど、健康なようだった。
そして帰宅。いそいでケージをセッティングして、マルギさんを投入。
こんなにちっさくてかわいいのだ。
家族はメロメロで、全員おしっこを漏らしそうである。
あれほどヘルマンがいいと言っていたお母さんも、釘付けだった。
買ってから1~2週間ほどは、慣れさせるためにできるだけそっとしておくようにとのことなので、この後2週間程はそっとしておくつもりだ。
けっこう元気に歩き回っている。
いろいろハプニングはあったが、元気な子を買えて、大満足である。この子が私の肩こりを治せるようになるまで、あと何年程かかるのだろうか。
ま、どうでもいいや!リクガメ踏み踏み治療法なんてこの世に存在しねーし!そもそも肩こってねーし!!
リクガメ購入編めでたく終わり。